プロダクト思考 とは?重要な理由
プロダクト思考 とは「UXデザイン」と「製品管理」が交わることで、組織とユーザーにとって価値を生み出す成果を提供することです。 プロダクト思考 にはフレームワークがいくつかありますが、「製品の成功のために、明確なゴールと測定可能な KPI で問題とソリューションの適合性を見出す」というコンセプトがベースにあります。
企業規模に関わらず、 プロダクト思考 の考え方を身につけるのは、現代の製品開発と競争が激しい環境において極めて重要です。今作ろうと思っているものは、すでに何らかの形で存在しているとなると競合他社が気づいていない、あるいは満たしていない問題や機会の特定が鍵になってくるのです。
実験とは、 プロダクト思考 と正しいソリューションを見つけるための核となるものであり、そのような実験には、アイデアや仮説をテストするための MVP (Minimum Viable Product)やプロトタイプが必要です。UXPin Merge は、プロダクトチームにデザインツールの経験がほとんどなくても、高忠実度で完全に機能するプロトタイプを作成できるようにする機能性があるデザインツールです。詳しくは Merge のページをぜひご覧ください。
プロダクト思考 とは
プロダクト思考 とは、ユーザーの問題に対して価値あるソリューションを開発するための問題解決手法のことであり、ユーザー、技術、ビジネスの目標がどのように交わり、顧客に利益をもたらす製品を提供し、プラスの投資対効果を生み出すかを考えます。
プロダクト思考の基本的な目的の1つに、「機能ではなく、価値を出すこと」があります。「これはいいね、顧客も喜ぶでしょう」ではなく、プロダクト思考はチームに「これは問題を解決するか?顧客はこれを使うだろうか?顧客や組織にとって価値があるものなのか?」と問いかけを強いるものです。
プロダクト思考 は、プロダクトチームが新たな問題、ユーザー、市場を探求し、製品のライフサイクルを延長させるのに極めて重要です。
「 プロダクト思考 」と「デザイン思考」
プロダクト思考 とは、ユーザー、市場、競合他社、ビジネス目標、およびその他の影響要因を理解するための全体的な手法です。組織が新製品をデザインするとき、製品管理チームは プロダクト思考 を使って問題を理解し、技術を使ってその問題を解決する方法を決定します。
対するデザイン思考は、よりユーザー中心で、特定のユーザーの問題を解決することに焦点を当てます。 プロダクト思考 が何を作るかを確定するのに対し、デザイン思考は UX を考慮し、製品内の特定のユーザビリティ問題を解決します。
両者の最大の共通点は、ユーザーとユーザーの問題を前面に押し出していることであり、主な違いは、 プロダクト思考 が複数の要素や複雑さを包含する広い考え方であるのに対し、デザイン思考は UX にフォーカスしている点です。
プロダクト思考 のプロセス
メリッサ・シルク氏は、Mind the Productのウェビナーで、3つのパートからなる プロダクト思考 のフレームワークについて概説しています。このフレームワークは、デザイン思考プロセスの多くの特徴を備えていますが、より広い範囲とビジネス目標、市場、競合他社をより重視しています。
問題
プロダクトマネージャーは、まず問題の特定から始めます。この最初の段階は、デザイン思考プロセスの共感と確定のステップに似ていますが、ユーザーだけでなく、市場や競合他社を理解することにも目を向けます。プロダクトチームは、ユーザーの問題を特定してそれを多角的に分析し、その問題を解決することの価値を判断します。
プロダクトチームが問題を確定するのに使う重要なリサーチツールは2つあります:
- ユーザーペルソナ:ユーザー、その動機、習慣、環境、問題の把握
- JTBD(ジョブ理論):革新的なソリューションを特定するために、複数の視点から市場、顧客、ニーズ、競合他社、および顧客セグメントを視覚化する手法
プロダクトチームがステークホルダーのために問題を確定するのに使えるテンプレートは2つあります。
基本的なテンプレート:
- 問題やペインポイントの説明
- 組織が問題を解決する方法
- 成功のための KPI
高度なテンプレート(5W1H):
- 「何」が問題か
- 「誰」に影響を与えるか
- 「なぜ」この問題が重要なのか
- 「どこで」この問題が起こるか
- 「いつ」この問題が起こるか
- 「どのように」この問題を解決できそうか
機会
次に、プロダクトチームは、問題を解決できそうな方法や、それが組織とそのユーザーにとってどのような意味を持つかを、機会の大きさや投資対効果も含めて評価します。また、市場機会についても検討し、この問題を解決することで、組織の市場シェア拡大や、新しい顧客獲得が実現できるかを検討します。
また、機会を評価しながら、プロダクトチームはアイデアや仮説を検証するためにプロトタイプを作ることもあります。
ソリューション
最後に、プロダクトマネージャーは結果を分析し、どのソリューションが最も問題を解決できるかを決める必要があり、その際、以下のような要素が複数考慮されないといけません:
- 考えられる ROI
- 資金的、人的資源的、技術的制限などの制約
- この問題の解決が、現在の製品ロードマップとどのように整合するか
- この新製品は、組織の目標に合致しているか
製品作りのための プロダクト思考 の活用法
元 Google のプラシャント・ナイル氏が、 プロダクト思考 の実践的なテンプレートについて概説しており、プロダクト思考は多くの製品フレームワークのように直線的なものではないと主張しています。その代わりに、プロダクトチームはプロセスを進めながら「継続的な再調整」を行い、機会を特定します。
プラシャントの プロダクト思考 テンプレートには8つの「ボックス」があり、それぞれにアイデアを深く掘り下げ、ストレステストするための質問が用意されています。
- ユーザー
- 市場
- ソリューション
- ビルド
- チーム
- 測定
- リサーチ
- 反復
PM(プロダクトマネージャー)は、各ボックスを体系的に確認することから始め、アイデアや機会があれば、どのボックスにも飛べます。
1.ユーザー
最初のボックスは、ユーザーを特定し、そのニーズを理解することです。
以下を聞いてみましょう:
- 直接のユーザーは誰か
- 影響を受けるユーザーは誰か
- ユーザーは何を達成しようとしているのか
上の質問は例なので、実際には製品や市場についての具体的な質問が他にも出てくるかもしれません。このステップでは、ユーザーの動機、問題、目標、ニーズやほしいものなどを深く理解することを目的としており、このデータを使って プロダクト思考 のプロセスをガイドするためのペルソナを作成できます。
2.市場
2つ目のボックスは、市場を見ます:
- ユースケースは現在どのように満たされているのか
- ギャップや機会はあるか
- そのギャップは解決する価値があるほど大きいか
- 市場のプレーヤーはなぜその問題を解決しないのか
ボックス2の主な目的は、マーケティングの機会を特定し、その解決に価値があるかどうかを評価することです。問題を特定したら、競合他社がその問題に取り組んでいない理由を深く掘り下げて理解することが極めて重要です。
3.ソリューション
最初のボックス2つは、問題や機会を見つけるためのものですが、続く2つのボックスは、ソリューションと提供に焦点を当てます。そして3つ目のボックスである「ソリューション」にいきます:
- ソリューションは、ユーザーに価値を提供するギャップに対処しているか
- ソリューションの持続可能に向けて、その価値を十分に収益化できるのか
- 10倍のイノベーションを発掘できたか
4.ビルド
4つ目のボックスでは、課題を洗い出しながらMVP(Minimum Viable Product)を構築することを考えます:
- どのように迅速かつ安価にソリューションをテストできるか
- どのように問題を予見してチームに立ちはだかるブロックを解除するか
- 確実にスムーズに降り立つにはどうすればいいか
ビルドのボックスは、ソリューションをテストすることを目的としており、PMは、仮説を検証するための費用対効果の高い方法、すなわちプロトタイプが必要です。プロトタイプの段階で、プロダクトチームは新しい機会を発見する可能性があり、そうなると、さらなる調査のために前のボックスに戻ります。そしてそこからまたビルドボックスに戻って新しいアイデアを反復する、といった具合です。
同時に、PMはソリューションに関連するあらゆる問題を予測しなければなりません。その例として、以下のようなものがあります:
- 規定または法的な影響
- 組織的な制限とキャパシティ
- コストとリソースの課題
- 技術的な制約
最後に、PMはこのソリューションでどのように市場に参入するか、そのプロセスはどのようなものかの検討が必要です。
5.チーム
5つ目のボックスは、組織の現在のリソースを見るものです:
- 適切なスキルやモチベーションがあるか
- インセンティブは一致しているか
- このプロジェクトを成功させるための資金やスポンサーはあるか
スキルやリソースがなければ、ソリューションは冗長で、振り出しに戻らなければならなくなるので、「チーム」のボックスは非常に重要です。
PMは、そのソリューションが組織の価値観、目標、ロードマップに合致しているかどうかも評価しなければなりません。優れたソリューションがあっても、それが組織を新たな方向へ導くものであれば、悪影響が出る可能性がありますからね。
6.測定
6つ目のボックスは、成功度を測るためのKPI(重要業績評価指標)を見ます:
- 正しい方向に向かっているかどうかを教えてくれるメトリクスは何か
- 継続的に追跡するための測定はできているか
- 失敗したとき、何がうまくいっていないのかを知るための十分な粒度があるか
PMは、ビジネスや製品のメトリクスを特定し、場所、年齢、言語、性別など複数のデモグラフィックでそれを測ります。
そのようなメトリクスをデザインする際に最も重要なのは、問題をピンポイントで特定する能力があるか – の「粒度」です
7.リサーチ
継続的なリサーチによって、プロダクトチームは市場や競合他社の変化に対応することができます。
チームが行う質問には、以下のようなものがあります:
- 外的要因を追っているか
- インサイトを生み出すことができているか
- そのインサイトは適切なフォーラムで公開されているか
市場や競合他社などの外部要因を把握するのは、それによって製品が無駄になる可能性があることから非常に重要です。例えば、米国で新しい暗号製品を開発している場合、政府が新たなライセンスや監視を必要とする法案を可決すれば、市場投入までの時間やコストが増大する可能性があります。あなたの会社には、こうした新しい要件を満たすためのリソースがない可能性もありますよね。
外部の変更により、PM は前のボックスに戻って新しい問題に対処し、現在のソリューションを適応させる必要があります。このような研究体制が整っていないと、PM はもはや市場に適合しない、あるいはユーザーに貢献できない製品を提供する危険性があります。
8.反復
最後のボックスは「反復」で、すべてのボックスに当てはまるものです:
- 実験する文化を育んできたか
- データに基づいた意思決定ができているか
- どれだけ早く適応できるか
Google は、世界をリードする技術革新の一つであり、実験を奨励し、失敗を「学習経験」としてとらえ、否定的な意味合いを排除することによってそれが実現されています。イノベーションと優れた製品は、何度も繰り返されることで生まれますが、失敗を恐れているチームメンバーは、新しいことに挑戦せず、結果的に平凡なものになってしまいます。
プロダクトチームは、「測定」ボックスで確定された KPI を使って、各反復を測定する必要があり、その KPI は、何かしらうまくいっていないとき、その理由をチームメンバーに伝えるのに不可欠です。チームはこのデータを使って、変更を加え、反復することができますし、データ駆動型の意思決定は、チームがアイデアを完全に放棄するタイミングを知らせてくれますからね。
プロダクトチームは、各ボックスを体系的に調べてベースラインを作成しないといけません。そして、1つのボックスに変更が加われば、他の7つのボックスを再調整して、製品アイデアの全体像を把握する必要があります。
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