UXハニカム – 7つの デザインフレームワーク

UXハニカム

ピーター・モービル氏の【 UXハニカム 】は、2004年に発表され、今でも現代の製品開発プロジェクトに非常に適したデザインフレームワークであり、デザインチームにUX(ユーザーエクスペリエンス)の7つの側面から製品を評価させ、改善すべき領域を特定させるものです。  

本記事では、 UXハニカム の概要と、それが最も効果的になる状況についてお話します。問題を解決してプロジェクトの成果を上げる【UXモデル】については、こちらの記事が特におすすめです。  

主なポイント:

  • UXハニカムは、UXを測るための最も一般的なUX デザインフレームワーク の1つである。
  • UXハニカムは、情報アーキテクチャに関する書籍を多数執筆しているピーター・モービル氏による考案である。
  • UXハニカムには、「有用性」、「使いやすさ」、「見つけやすさ」、「好ましさ」、「アクセス性」、「信頼性」、「価値」、という、優れたUXの実現に向けて一体となる7要素がある。
  • 製品の再デザイン時やUXの負債を測る際のチェックリストとして、また教育ツールとして使われる。

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 UXハニカム とは

  UXハニカムは、2004年にピーター・モービル氏によって開発された デザインフレームワーク です。このフレームワークは、UXの7つの側面を用いて、デザインチームが優れたCX(カスタマーエクスペリエンス)を提供するためのガイドとなるものであり、ユーザー中心のデザインや顧客に愛される製品をデザインする方法について、若いデザイナーを教育するための素晴らしい教育ツールでもあります。  

「UXハニカム」の著者であるピーター・モービル氏とは

  ピーター・モービル氏は、米国バージニア州スコッツビル出身の情報アーキテクト及びUXデザイナーであり、ベストセラーになった著書に『Web情報アーキテクチャ―最適なサイト構築のための論理的アプローチ 』、『Intertwingled – 錯綜する世界/情報がすべてを変える』、『検索と発見のためのデザイン- エクスペリエンスの未来へ』、『アンビエント・ファインダビリティ』などがあります。  

彼は、世界中の会議やワークショップで情報アーキテクチャやUXについて講演し、自身の会社であるSemantic Studioを通じて多くのフォーチュン500社のコンサルティングを手がけています。  

さらに彼は、ミシガン大学、AIIP(Association of Independent Information Professionals)、STC(Society for Technical Communication)、国立がんセンター などからいくつかの賞を受けています   自身のブログである「Intertwingled」では、彼の貴重な知識やインサイトが紹介されています。  

UXハニカムの7面

  ピーターのUXハニカムは、ユーザーのニーズをきちんと満たす製品を提供するために、デザイナーが満たさなければならないUXの7つの側面を以下のように特定しています:

  1. 有用性
  2. 使いやすさ
  3. 好ましさ
  4. 見つけやすさ
  5. アクセス性
  6. 信頼性
  7. 価値

  この7つの側面について、より詳しく見ていきましょう。  

1. 有用性

  有用な要素について問うべきは、「この製品や機能はユーザーにとって価値があるか」、「需要や必要性があるか」「ユーザーの問題を解決する製品か」などです。

user laptop computer

製品や機能が有用でなければ、製品に目的はありませんし、そもそもそれを作る理由もありません。有用かどうかは、徹底したユーザー調査とエンドユーザーへの理解から来るものなのです。  

2. 使いやすさ

  使いやすさ」は、UXデザインの重要な要素です。製品が便利でも、ユーザーにストレスを与えるものであれば、それは「使いやすい」とは言えません。  

デザイナーは、直感的なUI(ユーザーインターフェース)と情報アーキテクチャを構築し、タスクの実行や機能の使用をしやすくしながら、学習曲線を最小限に抑えなければいけません。  

プロトタイプとテストは、ペインポイントの特定やUXの向上に不可欠であり、デザイナーは、新しいリリースがユーザーニーズを満たしながらプロジェクトの要件を満たしていることを確認するのに、UX監査の実施が必要です。  

3. 好ましさ

  デジタル製品を堪能するには、美的感覚とデザイン性が必要です。なのでデザイナーは、レイアウト、ビジュアルデザイン、インタラクションデザインなど、ユーザーを惹きつけ、わくわくさせるUIデザインの要素を考えなければいけません。  

ユーザビリティテストやインタビューにおいて、デザイナーはユーザーの感情や感覚を考慮して製品の望ましさを判断する必要があり、問題を難なく解決する製品や機能によって、ユーザーを喜ばせることを目的としています。  

4. 見つけやすさ

  「見つけやすさ」とは、コンテンツや機能を見つけやすくすることです。製品を「見つけやすい」ものにするには、情報アーキテクチャ、検索、ナビゲーションが不可欠であり、デザイナーは、ユーザーのニーズとビジネスの目標に応じて、ナビゲーションの優先順位を決めなければいけません。

例えば、モバイルアプリをデザインする場合、デザイナーはどのメニューをタブバー上に配置するか、ナビゲーショナルドロワーの後ろに配置するかを決めなければいけません。  

「見つけやすい」というのものには、アラートメッセージやエラーメッセージも含まれます。例えば、フォームフィールドのエラーメッセージのように、ユーザーができるだけ早く問題を解決できるよう、デザイナーは案内しなければいけません。  

5. アクセス性

  アクセスしやすい製品をデザインすることは、現代の製品開発において不可欠であり、デザイナーやエンジニアは、身体的・精神的な能力に関係なく、誰もが効果的にサイトを閲覧し、その内容を消化できるようにしなければいけません。

accessibility

アクセス性は、こうした身体的・精神的な制約にとどまらず、状況や環境による制約にまで広がっています。例えば、VUI(音声ユーザーインターフェース)は、目の不自由なユーザーがアプリケーションを使う際に便利ですが、車を運転する人にとっても重要です。  

デザイナーは、製品がどのような人に使われ、どのような状況や環境でどのような問題に遭遇するかを考えなければなりません。また、ハンディキャップについて考え、サポート技術に匹敵する体験をどのようにデザインするかを考えることも不可欠です。  

6. 信頼性

  信頼と信用は、顧客の獲得や維持に不可欠であり、 ユーザーは、「期待に応え、ごまかしのない、信頼できる一貫した製品」を期待しているのです。

例えば、有料サービスのダウングレードやキャンセルの難易度はどの程度でしょうか。こういった作業を簡単にすることは、信頼を生み、有料顧客として戻ってくる可能性を高めます。一方、難しい操作をされると、人々はフラストレーションを感じ、製品やブランドの信頼性が損なわれます。  

デザイナーは、CTA(Call To Action)と指示の内容を確実に実行するようにしなければいけません。曖昧な言葉を使ったり、ユーザーを騙してタスクを完了させたりすると、あっという間に顧客はいなくなってしまいますよ!  

7. 価値

  ユーザーは、あなたの製品を使いたい、もしくは使わなければいけないはずです。価値ある製品とは、問題を解決し、投資に対するリターンをもたらすものですが、そのリターンは金銭的なものである必要はありません。時間の節約や、他の方法ではできないことの実現、あるいは待ち時間の気晴らしになったり、喜びを与えてくれるものであってもいいでしょう。

heart love like good

例えば、フードデリバリーアプリは、多くの国の人々にとって、ロックダウン時に非常に貴重な存在となりました。それにより多くのレストランが営業を続けられ、客に食事を提供することができたのです。  

ユーザーを理解し、その欲求を満たすサービスの提供が、「製品の価値」となります。  

UXハニカムの使用法

  UXハニカムは、評価のための優れたフレームワークであり、ゼロからのデザインよりも、既存の製品に最も効果的です。ここでは、デザインチームがUXハニカムのフレームワークを使用する可能性のあるシナリオをいくつかご紹介します:

  • デザイン負債の解消: デザイン負債には簡単に修正できるものもあるが、ユーザビリティの問題では、体系的なアプローチで問題の核心を特定する必要があり、UXハニカムで、デザイナーは問題を多角的にとらえ、根本的な原因を突き止められるようになる。
  • UXチェックリストUX監査やその他のデザイン評価において、デザイナーに基礎となるUXのチェックリストを提供。
  • 教育ツール:デザイナーは、ジュニアデザイナー、クライアント、ステークホルダー、CFT(部門横断的なチーム)に対して、UXとユーザビリティの問題がユーザーに与える影響について教育するためのフレームワークとして、UXハニカムを使うことができる。
  • 再デザイン:デザイナーは、再デザインの前にUXハニカムを使って、既存製品におけるUXの欠陥を特定することができる。

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