レジリエント な DesignOps – 実践のためのヒント
組織がデザインプロセスを効率化し、連携を強化しようと努力する中で、DesignOpsは『デザイン目標』と『ビジネス目標』を一致させるための基盤としての役割を果たします。
UXPinは最近、3人の DesignOps エキスパートによるウェビナー「Strategies for Building Resilient DesignOps Practice(レジリエントな DesignOpsプラクティス構築のための戦略)」を開催し、そこでは貴重なインサイトと戦略が得られました。
ウェビナーでは、以下の3人の業界専門家によるパネルディスカッションが行われました:
- Salomé Mortazavi氏:SiriusXM社の DesignOpsおよびデザインシステム担当シニアディレクター
- Meredith Black氏:豊富な経験を持つDesignOpsコンサルタント
- Adam Fry-Pierce氏:Google社のUXリーダーシップ担当チーフスタッフ
知識が豊富なこの三方からユニークな視点と経験がもたらされ、DesignOpsにおける課題と機会について議論されました。
UXPinの「信頼できる唯一の情報源(Singoe source of truth)」で、効率的なタスク管理とワークフローを実現します。アクセス方法については、Merge のページをぜひご覧ください。
デザインチームの真のニーズを突き止める
レジリエントな DesignOps のプラクティスを構築するには、デザインチームの真のニーズを理解し、それに対処することが非常に重要です。デザインチームが直面する基本的な課題の1つに、デザインと全体的なビジネス戦略との整合性の欠如があり、この不整合はデザインプロセスを阻害するような、非効率性やコミュニケーションのギャップ、そしてリソース制約につながってしまいます。
共通のビジョン作り
デザインチームのニーズに対応するための極めて重要なステップは、共通のビジョンの作成であり、このビジョンの共有には、デザインチームの目標をビジネスの幅広い目標と一致させることが含まれます。組織内でのデザインの役割について共通の理解を確立することで、チームはより結束して効果的に働くことができるのです。
デザインチームのビジョンのステートメントの作成についてはこちら。
ワークフローの効率化
デザインチームをサポートするもうひとつの重要な側面は、ワークフローの効率化です。デザインチームは、断片化されたプロセスによるボトルネックや非効率によく遭遇します。そこで DesignOps が、ワークフローを効率化することで効率性を上げ、連携しやすい環境を促進することで、デザインチームがこのような課題を克服できるよう支援します。
デザインシステムの導入
デザインシステムの導入は、コミュニケーションギャップやリソースの制約に対処する効果的な方法です。デザインシステムは、さまざまなデザインプロジェクト間で一貫性を保つことができるような一連の基準とガイドラインを提供し、それによってチームメンバー間のより良い連絡と連携が促進されます。
ロードマップと成熟度モデルの整合性
ロードマップを成熟度モデルと整合させることは、デザインプラクティスの現状評価や改善領域の特定などのデザイン計画のプロセスにおいて有益です。デザインチームは、ロードマップを成熟度モデルと整合させることで具体的なマイルストーンと目標の達成に焦点を当てた取り組みを行うことができますからね。
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DesignOps のプラクティスを適切なサイズにする
DesignOpsのロードマップを組織の成熟度モデルと整合させるなど、デザインチームの特定のニーズと成熟度に合わせて運用を調整するには、DesignOps のプラクティスを適切なサイズに調整することが非常に重要です。
成熟度モデルの使用
効果的なアプローチの1つは、デザインリーダーシップチームが集まって定性的な課題やニーズ、目標について議論することによって、成熟度モデルを中心にDesignOpsロードマップを調整することです。成熟度モデルで、重点領域の概要や、テーマの特定および優先順位付けができるようになります。この調整によって、確実にDesignOpsが組織の成熟度に沿った具体的なマイルストーンと目標の達成に重点的に取り組めるようになります。
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企画におけるインクルーシブデザインの提唱
もうひとつの重要な側面は、組織の企画(プランニング)のプロセスにおけるインクルーシブデザインの提唱です。デザインが主要な企画要素として認識されていないことがあるため、この認識を変えるにはデザインチームによる提唱が必要です。デザインを提唱してその価値を示すことで、DesignOps が組織の企画と意思決定プロセスにおいて、確実にデザインが重要な考慮事項となるようにすることができるのです。
内部統制とチームの成長
組織の目標に合わせるだけでなく、デザインチームのニーズに社内で焦点を合わせることが重要となります。この連携には、チームがどのように成長できるかの評価やデザイナーに開発の見通しを示す方法が含まれます。また、デザイナーが同じタイプのプロジェクトで行き詰まることもあり、彼らの成長と発展に貢献する多様な機会を提供することは非常に重要です。
デザインチームワークに関する電子書籍を読む: DesignOps First Pillar: How We Work Together.(DesignOps の第一の柱:協働の方法)
重要な部門横断的パートナーシップの特定と確立
DesignOps がうまくいくには、重要な部門横断的パートナーシップの確立が不可欠です。このようなパートナーシップによって、デザイン業務は確実に組織内の他のチームや部門の目標やインセンティブと一致できるようになります。
目標と動機の理解
部門横断的パートナーシップを確立するための重要な側面のひとつは、パートナーの『目標』と『動機』を理解することであり、さまざまなチームや部門には、それぞれの行動の原動力となる明確な目標と動機があることを認識することが非常に重要です。
この「目標」と「動機」を理解することで、DesignOps は他のチームの取り組みと連携し、共通の組織目標に向かって取り組むことができます。そしてこの連携は、DesignOps が確実により広範な組織目標と統合して、単独で運営されることがないようにするのに欠かせません。
緊急性と重要性のバランス
部門横断的なパートナーシップを確立する上でもうひとつ重要なことは、緊急性と重要性のバランスをとることです。文化を構築し、デザイナーをつなげることに力を注ぐのは重要ですが、緊急性が優先されることが多いことを認識しておくことも極めて重要です。DesignOps は、効率性を確保しながら、デザイン組織の価値を上げることに重点を置かないといけないのです。
DesignOps の規模および範囲
機能横断的なパートナーシップを確立する際には、さまざまなチームの固有のニーズを評価し、そのニーズを満たすための DesignOps の適切な規模と範囲を決定するなど、DesignOps の規模と範囲の考慮も不可欠です。
出だしに余裕を持ってチームや組織のニュアンスを理解することで、どのような種類のサポートやリソースが必要かを特定することができます。この体系的なアプローチによって、DesignOps は組織固有のニーズに合わせて確実に調整されるのです。
測定とインパクト:DesignOps のROIを説明する方法
インパクトを測り、DesignOps の ROI (投資収益率)を示すことは、組織内でその役割を説明し、デザインと部門横断チームに価値をもたらす重要な側面に焦点を当てるのに非常に重要です。
インパクトへの焦点
DesignOps を測る上で欠かせない側面の1つは、インパクトへの焦点です。DesignOps の実践者は、すべてをやり遂げたいという衝動を抑え、代わりに最も重要なことに集中しないといけません。DesignOps チームの規模とインパクトは必ずしも一致しないことを認識しておくことが重要であるため、低コストでも見返りの大きい取り組みに集中することが非常に重要です。
土台作り
DesignOps にレイヤーを追加する前に、デザインと部門横断チームの価値を促進する本質的な側面に焦点を当てることによる、強固な基盤構築が必要です。この土台を築いて組織からの賛同が得られたら、DesignOps が提供する中核的な価値を損なわないように注意しながら、追加のレイヤーを追加し始めることができるのです。
内部拡張と乗数
緊縮財政の時代には、創意工夫を凝らして取り組みの規模を拡大することが極めて重要です。これは必ずしも人員を増やす必要はありませんが、DesignOps に関心のあるマネージャーやリーダーとの提携が必要になる場合があります。また、同様にこれらに関心のあるデザインリードの機会を引き出すことにもつながるかもしれません。このような内部乗数は、必ずコストを増やすというわけではなく、取り組みを強化させることができるのです。
デザイナーの DesignOps 参加
DesignOps を拡張するもう1つのアプローチとして、デザイナーの DesignOps への参加があります。多くのデザイナーは、気づかないうちにすでにDesignOps 活動を行っているかもしれません。このようなデザイナーにDesignOps での役割を割り当てることで、組織はデザインへの理解を通して、 DesignOps の価値を上げることができます。
スコープの影響:コストセンターと収益源 – 管理範囲内のメトリクス
DesignOps の影響をスコープする際には、コストセンター(原価中心点)と収益源を通してビジネスニーズに焦点を当てることが不可欠であり、このスコープには、機能横断的な強固なパートナーシップの確立や、DesignOps の管理範囲内のメトリクスへの注力が含まれます。
ビジネスニーズへの焦点
ビジネスに価値をもたらす重要な側面を特定し、その側面に取り組みを集中させることは、影響範囲に不可欠です。DesignOps にできることがたくさんある一方で、ビジネスに最も大きな影響を与えるものに集中することが、最も大きな価値と ROI を生み出すということを認識しておくことが重要です。
部門を超えたパートナーシップの確立
強力な部門横断的パートナーシップを確立するということは、エンジニアリング、製品、技術プログラムマネージャなど、組織内の他の部門や機能との関係を築くということです。このようなパートナーシップにより、DesignOps は組織の広範なゴールと連携で、達成につながることができるのです。
投資としての人間関係
機能横断的なパートナーと個人的な関係を構築することで、DesignOps は他部門や機能の目標やニーズをよりよく理解できるようになり、DesignOps の管理範囲内のメトリクスに焦点を当てながら、調整して取り組むことができます。
時代の変化への対応
DesignOps は、たとえ緊縮財政の時代であっても、回復力性( レジリエント )があり、成長と発展の機会を模索することで、変化に機敏に適応できないといけません。柔軟で、回復力があることでDesignOps は世の中が変化しても、ビジネスに価値をもたらし続けることができるのです。
DesignOps × ChatGPT含む生成系AI
DesignOps のコンテクストでは、AI(人工知能)や ChatGPT のような生成系モデルは、デザインプロセスを大幅に効率化し、生産性を上げてくれます。その方法を以下に挙げてみましょう:
ルーティンタスクの自動化
AI はデザインプロセスにおけるルーティンワークや繰り返し作業を自動化し、それによってデザイナーはより複雑でクリエイティブな作業に集中できるようになります。例えば、DesignOps の実務者は、AI を使って、事前に確定されたルールやガイドラインに基づいて、デザインアセット生成、UI(ユーザーインターフェース)コンポーネント、さらにはレイアウト全体を自動化することができます。
迅速なプロトタイプ
生成系 AI モデルは、特定の入力に基づいてデザインコンセプトを生成することで、迅速なプロトタイプを支援することができます。AI を活用することで、デザインのアイデア出しやコンセプト開発の段階のスピードが大幅上がり、デザイナーはより短時間で幅広いアイデアを検討することができるのです。
ユーザー調査とデータ分析
AI は、ユーザー調査やデータ分析の支援もします。例えば、AI はユーザーの行動データを分析してパターンや傾向を特定し、デザインの意思決定に有益で貴重なインサイトを提供することができます。また、DesignOps は 、ユーザーテストを実施してフィードバックを集めることでユーザーの反応を集めて分析するような、時間のかかるプロセスを AI を使って自動化することもできます。
連携の強化
ChatGPT のような AI モデルは、アイデアを生み出し、フィードバックを提供し、様々なタスクを支援する仮想チームメンバーとして機能することで、連携を改善することができます。そしてこの AI アシスタントは、特に遠隔地や分散した作業環境において、デザインチームの効率性と生産性を上げることができます。
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