エクスペリエンスデザイン とは?UXとの違いをわかりやすく説明
エクスペリエンスデザイン は、有意義な体験の創造に焦点を当てた急成長中のデザイン分野であり、エクスペリエンスデザイナーは、デザイン、心理学、テクノロジーを組み合わせた学際的なアプローチで、ユーザー中心のデジタル製品を開発します。
そこで本記事では、エクスペリエンスデザインの基礎と、実践者がHCD(人間中心設計)のテクニックを使って魅力的な製品やサービス体験を生み出す方法について見ていきます。
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エクスペリエンスデザインとは
エクスペリエンスデザイン とは、物理的またはデジタルでのエクスペリエンスを作り出すことを言います。このエクスペリエンス(体験)には、複数のタッチポイントにはあらゆるディテールがあり、「視・聴・嗅・味・触」などが含まれるかもしれません。
例えばディズニーワールドは、エクスペリエンスデザインの良い例ですね。ディズニーのチームによって、お客様が入園してからから退園するまで、慎重にキュレーションされた体験(エクスペリエンス)がデザインされていますよね。
そしてパークのエクスペリエンスデザインチームには、建築家、建設業者、内装業者、造園業者、グラフィックデザイナー、アーティスト、振付師、俳優など、それぞれが異なる責任を持つ何百人ものステークホルダーや協力者が参加することになるでしょう。
デジタルプロダクトデザインでは、体験には『物理的な体験』と『デジタルな体験』があり、それがどのように交わるかを考えることがよくあります。例えば、フードデリバリーアプリでは、職場の人がどのようにランチを注文するかを以下のように分析します:
- 電話をかける前の状況
- 注文するきっかけ
- 電話を取ってから注文完了までのステップ
- アプリでのユーザー体験。アプリでのユーザー体験をどのようにキュレーションするのか。デザインはどのようにユーザーに影響を与えなければならないのか。
- 料理が届いた時の状況
- 料理開封時の状況(皿に移すのか、箱から出して食べるのか)
- 食べる場所(デスクで食べるのか、食堂で食べるのか。)
- 食後のパッケージ(リサイクルかゴミ箱か。)
デジタル製品のデザインにおいて、体験を総合的に考えることは、それによってプロダクトチームがユーザーの行動やきっかけ、動機など、デジタル領域以外の要素を理解することができます。最終的には「誰が」「どのように製品を」「なぜ使うのか」を考える上でも非常に重要です。
エクスペリエンスデザイン が重要な理由
エクスペリエンスデザインは、人々が製品やサービスを利用する際にどのように感じるかを左右するため、業界問わず極めて重要です。ブランド認知や全体的な CX(顧客体験)にも影響します。
いい体験 を提供できれば、ユーザーの満足度とロイヤリティが上がり、同時にブランドは競合他社から突出します。この体験をうまく “デザイン” するには、デザインチームはユーザーのニーズ、好み、期待していること、動機、その他の重要な要素を理解しなければいけません。この体験を誤ると、人々を惹きつけるどころか、むしろ遠ざけてしまうことになります。
エクスペリエンスデザイン と UXデザイン
『エクスペリエンスデザイン』と 『UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン』は、重なる部分が多く、関連した学問ですが、微妙な違いがあります。
UX デザイン
UX デザインとは、特にデジタル製品のインタラクティブ性とユーザビリティのことを指し、UXデザイナーは、直感的で楽しいユーザー体験を実現し、ユーザーが簡単にタスクやアクションを完了できるようにすることを目的としています。
エクスペリエンスデザイン
エクスペリエンスデザインとは、物理的でもデジタルでも、あらゆる体験を指し、感覚的、感情的な要素を含む総合的なカスタマージャーニーを考慮したものです。一般的に UX デザイナーが UX デザインを担当するのに対し、エクスペリエンスデザインの担当は、製品、サービス、業界によって異なります。
デジタル製品の場合、エクスペリエンスデザインのチームは、大体以下のメンバーで構成される、部門の垣根を超えたユニットで構成されます:
- UXデザイン
- 製品
- グラフィックデザイン
- ブランディング
- マーケティング
- エンジニアリング
- カスタマーサービス
エクスペリエンスデザイン のプロセス
エクスペリエンスデザインのプロセスでは、デザイン思考や HCD(人間中心設計)のアプローチを用いた UXと同一のデザインフレームワークが使用されます。
サービスおよびインタラクションデザイナーであるMarion Baylé (マリオン・バイレ氏)は、クリエイティブな教育機関であるハイパーアイランドが、ダブルダイヤモンドモデルを使って、以下の4つのフェーズを通して体験のデザインについて学生を教育している様子を紹介しています:
- 発見(Discover)
- 確定(Define)
- 開発(Develop)
- 提供(Delivery)
1.発見(Discover)
発見の段階では、ターゲットのニーズ、動機、行動、課題を調査します。マリオンは、インタビューが最高のエクスペリエンスデザインのリサーチ手法であると主張し、記事の中で Ideo の引用を交えて改めて説明しています:
「デザインする人の気持ち、欲求、要望を理解するには、直接対話することが一番です。」
また、リサーチャーは適切なターゲットに話しかけ、ユーザーグループ内のさまざまな人々にインタビューする必要があります。
他、以下のようなリサーチの手法もあります:
- デスクリサーチ:組織、市場、競合他社、専門家、発表論文などに関する定性的・定量的調査
- アンケート:リサーチャーは、これで多くのデータを早く集めることができる。ちなみにマリオンは、有意義なフィードバックを得るには、適切な質問をすることが重要だと強調している。
2.確定(Define)
次に、リサーチャーはディスカバリーで得られたデータを統合して、問題の確定や機会の特定を行い、エクスペリエンスデザイナーは、UX でおなじみの以下のようなツールを使用します:
- ユーザーペルソナ:ターゲットとなるユーザーの属性、ニーズ、欲求、問題点などを表現した架空の人物像
- エクスペリエンスマップ:ペルソナの「人間の活動のより広いコンテクストに焦点を当てた、あるドメイン内でのジャーニー」を可視化したもので、一般的なカスタマージャーニーマップをより複雑で総合的にしたもの
- デザインシンセシス:リサーチャーがデータをまとめ合意を得るという、共同作業による「センスメイキング(意味付け)のプロセス」
3.開発(Develop)
開発は、エクスペリエンスデザイナーが様々な手法で創造的思考を推し進め、多くのアイデアを素早く開発するためのアイデア発想プロセスです。以下に例をいくつか挙げますね:
- クレイジー8:デザイナーが8分間で8つのアイデアを作成するスケッチエクササイズ
- HMW(How might we):「どうすれば〜できるか」と考える、問題解決のためのQ&A演習
- Worst possible ide(考えられる最悪のアイデア):革新的なアイデアを生み出すための、既成概念にとらわれない創造的思考プロセス
- インパクト/エフォートマトリックス:ベストなアイデアをランク付けして選択するための手法であり、プロトタイプやテストを行うための一握りのアイデアを得ることが目的
4.提供(Delivery)
最後の段階は、プロトタイプとテストを繰り返すプロセスです。エクスペリエンスデザイナーは、まず低忠実度のプロトタイプを作成し、アイデアを最適なソリューションに絞り込みます。忠実度が高いほど作成に必要な時間とリソースは多くなるため、デザインチームは忠実度の低いプロトタイプの段階で、上手く行かない性能やアイデアは除きましょう。
提供のフェーズで使われるプロトタイプの手法には、以下のようなものがあります:
- ペーパープロトタイプ(Lo-Fi):デザイナーが様々なアイデアやユーザーフローをサッとテストできるように、UI(ユーザーインターフェース)のワイヤーフレームを手でスケッチしたもの
- ワイヤーフレーム(Lo-Fi):デザイナーはペーパープロトタイプができたら、ペーパーモックアップをデザインツールで再現し、ナビゲーションの要素をつなげてユーザーフローを構築する
- インタラクティブ・プロトタイプ(Hi-Fi):色、マイクロインタラクション、トランジッション、アニメーションなど、最終製品の忠実度と機能性を正確に再現するプロトタイプ
UX デザイナーは、このようなプロトタイプをステークホルダーやエンドユーザーとテストし、効果的なソリューションが開発されるまで反復しますが、ユーザーやユーザビリティに重点を置くUXデザイナーとは異なります。エクスペリエンスデザイナーは、ブランド、製品、ユーザー、実世界の活動に沿った、より全体的で有意義なエクスペリエンスを作りたいと考えています。
UXPinのインタラクティブなプロトタイプでデザインの意思決定を検証する
UXPin は、デザイナーがデザインプロセスで有意義な結果を得るために、最終製品のようなプロトタイプ体験を作成することができる先進的なデザインツールです。デザイナーはこの高度なプロトタイプによって、テスト中に多くの機会の発見や、より多くの問題解決ができ、それによってより質の高い最終製品が生み出されます。
高い忠実度=体験価値の高いテスト
エクスペリエンスデザインは、アイデアや仮説をテストするための正確なプロトタイプに依存していますが、従来の画像ベースのデザインツールは、インタラクティブ性よりもビジュアルデザインに重点を置いているという問題点があります。プロトタイプは見た目は良いのですが、最終製品のように機能しないため、デザイナーは正確なデータを得ることができないのです。
UXPin は、他の一般的なデザインツールと同様の外観と機能を持ちながらベクター画像の代わりにコードをレンダリングする、オールインワンのデザインツールです。このコードレンダリングにより、デザインチームはフロントエンドデベロッパーと同じプロトタイプ機能を得ることができ、UXPin の高度な機能を使うことで、デザイナーはコードプロトタイプに匹敵するプロトタイプの結果を得ることができます。
UXPinの高度なプロトタイプ機能を見てみよう
UXPin は、他の一般的なデザインツールとは異なる主要な機能を4つ備えています:
- ステート:UI 要素1つに対して複数のステートを作成し、ドロップダウン・メニュー、ステッパー、カルーセル、アコーディオンなどの複雑なコンポーネントを構築できる。
- インタラクション:UXPinには、没入感のあるプロトタイプ体験をデザインするためのトリガー、アクション、アニメーションが多数用意されており、条件付きインタラクションを使って、ユーザーのアクションに反応するJavascriptのような動的なインタラクションの作成もできる。
- 変数:変数は、ユーザーの入力からデータを収集し、アプリケーションの別の場所で使用するもので、まさにコードで変数が機能するのと同じである。デザイナーは、この変数を使って UI を個別化し、テスト参加者に有意義な実世界の体験を提供できる。
- エクスプレッション:フォームバリデーション、計算コンポーネント、動的エラーメッセージなど、プロトタイプの複雑性を上げることができ、ステート、インタラクション、変数と組み合わせることで、デザイナーはコードに匹敵する機能を作成することができる。
新製品の開発でも、既存製品の再デザインでも、UXPinの多機能のプロトタイプによって、デザインチームは没入感のあるインタラクティブなエクスペリエンスを生み出すことができます。
このようなプロトタイプは、テストに役立つだけでなく、デザイナーとエンジニアの連携や理解を深めることができます。エンジニアとステークホルダーは、何かが起こるのを「想像」したり、一般的なデータを使用する必要はありません – それは UXPin のプロトタイプがしてくれますからね。
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