DesignOpsの成熟度確認のためのチェックリスト
DesignOpsを成熟させ、広めることは長期的な成功のために非常に重要です。しかし、どこから始め、何を追跡し、どのように正しいメトリクスを測るのでしょうか? そこで筆者達は、NN GroupのDesignOpsフレームワークとUXPinコミュニティからの質問からヒントを得て、DesignOpsの実践者が成熟度の追跡と測定に使用できるチェックリストのテンプレートを作成しました。
UXPin MergeでコンポーネントライブラリをUXPinのエディタに同期させて、信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)を作成し採用率を上げましょう。Reactライブラリ用のGitや、その他の一般的なフロントエンドフレームワーク用のStorybook統合をぜひご覧ください。
メトリクスの使用によるDesignOpsの追跡
DesignOpsの取り組みを追跡しなければ、変更が成功したかどうかや、組織の成熟度合いを知ることはできません。また、このようなメトリクスは、ステークホルダーへの成功の報告、賛同の獲得、およびOpsの拡張のために極めて重要です。
正しいメトリクスの選択
2021年12月に開催されたパトリツィア・ベルティーニ氏とのWebセミナーでは、DesignOpsのROIと正しい測定基準の選択について考察しましたが、そこでパトリツィアは、DesignOpsのメトリクスを、【有効性】と【効率性】の2つのカテゴリーに分類しました。
- 【有効性】とは、行動や正しいことを行うことであり、主観的で測定が困難な場合がある。
- 【効率性】とは、数字や割合、比率などを使って測定・定量化できるものである。
ステークホルダーは、原因と結果を明確に示すことができるため、効率性を見ることを好みますが、効率性も、行動や主観的な改善によって効率が上がり、DesignOpsの拡張と成熟に役立つため、同じくらい重要です。 パトリツィアが有効性と効率性にどのようにアプローチしているか、YouTubeチャンネルにあるウェビナーで再度ご確認ください。DesignOps、デザインリーダーシップ、デザインシステムに関する今後のウェビナーについてはぜひご購読ください。
DesignOpsのフレームワークを 「成熟度チェックリスト 」として使う
NN Group の DesignOpsのフレームワークは、「DesignOps の状況」 を理解するのに優れたテンプレートであり、DesignOpsリーダーは、このフレームワークを「成熟度の追跡」や、「改善すべき領域の特定」のためのチェックリストとして使うことができます。 NN Groupが557人のデザインとUXの実務者を対象に行った2020年の調査では、DesignOpsは 「ほとんどの組織で低水準 」という結果が出ました。 この調査では、「組織は推奨されるDesignOpsの取り組みの22%しか行っておらず、DesignOps専用の役割もなく、全体的にDesignOpsの成熟度が低かった」と報告されています。 このフレームワークをガイドとして、DesignOpsの実践者は【進捗】と【成熟度】を追跡するためのチェックリストを作成することができます。 フレームワークによると、DesignOpsには主に3つ領域があります:
- どのように協力し合うか
- どのように仕事を成し遂げるか
- どのようにインパクトを生み出すのか
どのように協力し合うか
【どのように協力し合うか】 は、NN Group の DesignOps 成熟度調査において、平均 18% で最も低いスコアとなり、「人間らしさ:開発と成長の実現」というカテゴリーが、この分野で最も低い成果となりました
この分野が連携や連絡、チームワーク、雇用、スキル開発など、UXのアウトプットに関連するメトリクスに相関していることから、経営陣やデザインリーダー又はDesignOpsのリーダーは、成果の低さに特に注意を払わなければいけません。 組織化:チーム体制 プロジェクトの成功には、「適切なチーム」の構築が欠かせません。NNグループの調査では、DesignOpsの成熟度を向上させるための3つの重要な領域が特定されました:
- 共有されたデザインチームの組織体制
- 役割とスキルを補完し合うバランスの取れたデザインチーム
- デザインリーダーは他部門のリーダーと同等である
連携:効果的なコミュニケーション
- デザインの役割がデザインチームメンバーやステークホルダーに理解され、合意されている
- デザイナーがUXの知識やインサイトを共有するためのコミュニケーションチャネル
- 社内および部門を超えた連携を促す職場環境
- チームメンバーが興味や情熱を共有するための正式なチャネル
人間味:発展・成長を可能にする
- 客観的な候補者評価を促す一貫した採用・面接の実施
- 新入社員のマイルストーンと目標の設定と、定期的なチェックの実施
- デザイナーのキャリア開発のための明確な道筋
- 成長の機会を特定するための定期的なスキル評価プロセスの確立
DesignOpsサービスの認知
もうひとつ、【どのように協力し合うか】を形付けるのは、組織全体の意識と積極性を高めるために仕事を社会化するという、認識です。
- スキルの認識:適切なチーム作りに不可欠
- スキルギャップの認識 :長期的な成長とUXの拡張に不可欠
- キャリアの現状と機会の認識:才能の保持や、従業員のモチベーション維持のための、個人の開発と成長への刺激
- ブランドと文化の認識: UXを組織の幅広いビジョンと結びつける。
【どのように協力し合うか】の領域を改善したいと思いませんか?DesignOpsの最初の柱に関する無料のeBookをこちらで入手し、DesignOpsのこの重要な側面について学びましょう。
どのように仕事を成し遂げるか
私たちがどのように仕事を成し遂げるかは、プロジェクトのワークフロー、ツール、プロセス、およびプロトコルに関連しています。この分野は、生産性、プロジェクトの納期、および一貫性に影響を与えるため、通常、DesignOpsの主要な焦点となります。
NNグループのDesignOps成熟度調査では、すべてのメトリクスで平均20%という結果が出ています。
標準化:一貫したツールやプロセスを使う
- 標準化・文書化されたデザインプロセスをステークホルダーと共有し、社内のデザインチームが使用する
- デザインが開発プロセスに適切に組み込まれている
- デザイナーは、標準化されたUX原則に基づいて作業を行い、一貫したプロジェクトデリバリーを実現する
- デザイナーは、UXアーティファクトを作成するのに一貫したツールセットを使用する
- デザインツールは、プロダクトやエンジニアリングを中心とした外部パートナーと統合されている
調和:リソースやインサイトの共有
優先順位:何をなぜ重視するかの決定
- デザインチームは現実的な能力で運営されており、すなわち、適切なリサーチ、デザイン、プロトタイプ、テスト、ドキュメンテーション、およびデリバリーのための十分な時間が確保されている。
- デザインプロジェクトにおける現実的な時間枠と予算
DesignOpsサービスの有用性
NNグループのフレームワークに、もう一つ、【DesignOpsサービスの有用性 】という要素を追加します。
- デザインリーダーシップとステークホルダーのデザインプロジェクトの状況に対する認識
- デザインチームの健全性
- うまくできあがったデザインプログラム
- 生産性、効率性、市場投入までの時間、一貫性など、デザインシステムへの影響
どのようにインパクトを生み出すのか
【インパクト】は、DesignOpsの最後の注目分野です。NNグループの調査では、インパクトは平均30%と最も高いスコアでしたが、多くのメトリクスは1桁以下かそれに近い数値でした。
このDesignOpsの要素を拡張、成熟させるのに、デザインアドボカシーは重要な役割を果たします。
測定:デザイン品質の定義と追跡
- 説明責任を果たすための一貫したデザインメトリクスの追跡
- プロジェクトごとに、また、より広いビジョンとロードマップに向けて追跡されるUXのメトリクス
- デザイン品質の客観的で一貫した測定
社会化:デザインの役割と価値についての教育
- パートナーやステークホルダーと共有するデザインの成功例とケーススタディ
- パートナーやステークホルダーに対するデザインの役割と価値の統一的なメッセージと共有
- ユーザー中心のデザイン原則の適用における、非デザイナーの認識
- 組織のデザインの価値の理解
有効化:デザイン活動の組織的な活用の促進
- 外部パートナーも利用可能なデザイン活動や手法
- 問題解決のためのデザイン思考など、非デザイナー向けのデザインスキルトレーニング
- アイデア出し、プロトタイプテスト、デザインスプリント、UXリサーチなどのデザインプロセスへのデザイン担当以外の社員の参加
DesignOpsサービスの導入
インパクトの要素に【導入】というもう1つのレイヤーを追加します。導入と完了は、DesignOpsのケーススタディと成功事例を組織やステークホルダーと共有することができるため、インパクトにとって非常に重要です。
- ツール、プロセス、システムの採用 – 変化の促進
- デザインイベント、デザインチームメンバー、外部パートナー、ステークホルダーへの参加
- 標準化されたデザインプロセスに従ったプロジェクト
- デザインレビュープロセスに従ったプロジェクト
- 管理されたデザインプログラムの数
- うまくできあがったプログラムの数
UXPin Mergeでデザインを拡張しよう
デザインアウトプットの拡大のために、デザイナーを増員する必要はありません。2019年にUXPin Mergeを導入したPayPalでは、プロジェクトの納品が8倍速くなり、デザイナーを増員する必要がなくなりました!
デザイン、製品、開発を同期する完全に統合されたデザインシステムがあれば、チームはゼロからのデザインやコーディングをほとんどすることなく、素晴らしい製品を作ることに集中できる時間を増やすことができます。それによりIressは、UXPin Mergeによって「完全に統合されたデザインシステム」を構築し、以下が実現されました:
- コードもしくはコードなしでのデザイン
- デザインドリフトなし
- 一貫したデザイン
- シームレスな(もしくはまったくない)ハンドオフ
UXPin Mergeの単一のコードベースのデザインソリューションで、DesignOpsの多くの課題を解決しましょう。この画期的なテクノロジーへのアクセス権をリクエストして、顧客にとってより良い製品体験の構築をぜひ始めてください。