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コンポーネントベースデザイン :実装の完全ガイド

By UXPin on 10th 4月, 2025

コンポーネントベースデザイン とは、UI(ユーザーインターフェース)を「コンポーネント」と呼ばれる再利用可能な自己完結型のパーツに分解する手法です。このアプローチで、デジタル製品開発における一貫性効率性拡張性が上がり、AtlassianAirbnbSalesforce のような大手企業は、時間の節約や生産性の向上のためにこの方法を採り入れています。

主なポイント:

  • 再利用可能なコンポーネント:一度構築すれば、どこでも使用でき、一貫したデザインになる。
  • アトミックデザイン:コンポーネントを「原子、分子、有機体、テンプレート、ページ」の5つにまとめる。
  • デザイントークン:トークン(例:color.primary.500)を使って、プラットフォーム間で一貫したスタイルを実現する。
  • コンポーネントライブラリ:コンポーネントを計画、ドキュメント化、テストして、効率を最大50% 上げる。

概要:

  • Airbnb ではデザインから開発への引き継ぎ時間35% 短縮した。
  • 一貫性のあるインターフェースにより、タスク完了率が39% 上がった。
  • コンポーネントライブラリを使っている企業は、効率が30~50% 上がったたとの報告がある。

そこで本記事では、コンポーネントライブラリの構築からスケーリング、デザインのテスト、React、Storybook「デザインからコード」ワークフローなどのツールの使用まで、あらゆることを押さえていきます。このガイドでデザインプロセスの効率化の準備を始めましょう。

アトミックデザインとは、重要な理由

コンポーネントベースのデザイン の主要概念

コンポーネントベースデザインは、インターフェースを再利用可能な小さなパーツに分割することで、デジタル製品開発のあり方を一変させます。この手法により、チームの作業効率は上がり、製品の長期的な成長と適応が実現します。

モジュラーデザインの仕組み

モジュラーデザインでは、UI(ユーザーインターフェース)を「コンポーネント」と呼ばれる再利用可能なパーツに分割します。その好例として、一貫した外観と機能を保ちながら、単体でも他のコンポーネントと並んでも動作する、Material-UI のボタンコンポーネントが挙げられます。

モジュールデザインには主に以下のような側面があります:

  • 単独で機能するコンポーネントの構築
  • コンポーネント間の明確な関係の確定
  • 一貫したスタイルと動作の維持
  • 製品全体の更新のシンプル化

このアプローチにより、アトミックデザインのような構造化システムの強力な基盤が作られます。

アトミックデザインの使用

ブラッド・フロスト氏のアトミックデザインメソッドでは、コンポーネントは以下の5つのレベルにまとめられることから、最も複雑なデザインシステムでも扱いやすくなります。

レベル 内容 一般例
原子 基本的な UI 要素 ボタン、入力、ラベル
分子 要素の小さなグループ 検索バー、フォームフィールド
有機体 より大きい UI セクション ナビゲーションヘッダ、製品カード
テンプレート ページレイアウト 記事レイアウト、製品ページ
ページ 特定の事例 ホームページ、お問い合わせページ

 

アトミックデザインの実例として、Airbnb の DLS(デザイン言語システム)が挙げられます。同社はこの原則を採り入れることで、デザインから開発へのハンドオフ時間が35%短縮され、プラットフォーム全体のデザインの一貫性が20%改善されました [2]。また、Airbnb のデザイン・システム・リードであるマイケル・フーケ氏は、200を超える再利用可能なコンポーネントの作成に協力し、このアプローチがいかにスケーラブルであるかを示しました。

デザイントークンについて

コンポーネントを整理した後、デザイントークンでシステム全体の一貫したスタイルを確保します。このトークンは、色、間隔、タイポグラフィなどのデザイン値の構成要素として機能します。

デザイントークンを使う理由としては以下が挙げられます:

  • エラーの減少:デザイン トークンを採り入れた後、企業はスタイル関連のバグが最大40% 下がった[7]
  • より速やかな更新:1回のトークン更新で、スタイル全体を変更できる。
  • 連携の改善:デザイナーとデベロッパーが、デザイン要素の統一された言語を共有できる。

例えば、#007bff のような色をハードコーディングする代わりに、チームは color.primary.500 のようなトークンを使います。これにより、テーマの更新やプラットフォーム間の一貫性の維持がしやすくなります。

コンポーネントライブラリの作成

コンポーネントライブラリの構築には、綿密な計画と細部への注意が必要であり、モジュラーコンポーネントとデザイントークンを使うことで、ライブラリはスケーラブルなシステムに変わります。きちんと整備されたコンポーネントライブラリがある企業だと、多くの場合はデザインや開発の効率が30~50%上がり [1]、よく構造化されたライブラリだと、より大規模なシステムとのスムーズな統合が保証されます。

コンポーネントの計画

まず、UI 監査を行い、パターンを見つけ、重複をなくすことから始めましょう。このステップで、コンポーネントの明確な階層を確立でき、最初に開発する必要があるものに集中することができます。

コンポーネントを計画するときは、以下の主要な要素に留意しましょう:

  • ステートとバリアント:さまざまな場面でコンポーネントがどのように動作するかを定める(例: デフォルト、ホバー、有効、無効)。
  • 命名規則Category-ComponentName-Variant などの一貫したパターンに従う。
  • プロップとプロパティ:さまざまなユースケースに合わせてコンポーネントを柔軟にするために、設定可能なオプションを特定する。
  • ドキュメント:使用ガイドラインと技術的な詳細を明確に概説する。

どんな感じかを掴むには、Microsoft の Fluent Design System をご参照ください。これで、効果的な計画によってプラットフォーム間の一貫性をどのように確保できるかがわかります[2]

デザインシステムへのコンポーネントの追加

コンポーネントをデザインシステムに統合するには、構造化されたアプローチが必要であり、その効果的な実行法として、例えば Salesforce の Lightning Design System が挙げられます[8].

統合フェーズ 主なアクティビティ 想定される結果
ドキュメンテーション 使用ガイドライン、コード例 明確な実装経路
レビュープロセス デザインの批評、アクセシビリティのチェック 品質保証
バージョンコントロール Git ベースの管理、変更ログ 更新の整理
ディストリビューション ストーリーブックの統合、パッケージの公開 チームがアクセスしやすくなる

 

コンポーネントデザインのテスト

徹底したテストにより、コンポーネントがさまざまなコンテクストでうまく機能することが保証され、統合後は、厳格なテストによって信頼性が確認されます。Uber の Base Web システムはその好例で、以下のような詳細なテストプロセスを採用しています:

  • デバイス間の視覚的な一貫性のチェック
  • 全ステートでの機能動作の検証
  • アクセシビリティのコンプライアンスの確認
  • パフォーマンスへの影響の測定
  • クロスブラウザの互換性のテスト

このアプローチにより、Uber では市場投入までの時間が30%短縮されました[5].。同社では、Storybook のようなツールを使って、分離されたコンポーネントのテストを行うことで、チームは完全なアプリケーションのセットアップを必要とせずにコンポーネントを操作できます。

アクセシビリティについては、Axe や WAVE のようなツールで、コンポーネントが WCAG 基準を満たしていることを確認することができます[6].

大規模なライブラリに取り組んでいるなら、自動テストは必須です。たとえば、Atlassian の デザインシステムチームでは、自動化されたビジュアルリグレッションテストによって90% のテストカバレッジが達成し、手動での QA(品質保証)の時間が大幅に削減されました[8]

デザインからコードへ

デザインコンセプトを機能的なコードに変換するには、デザインと開発を結びつける構造化されたアプローチが必要であり、組織化されたデザインからコードへのワークフローを使うチームだと、UI コンポーネントの開発時間を40%短縮できるというデータがあります[3]。ここでは、コンポーネントデザインの原則に関する以前の議論を基に、これらのコンポーネントの構築や統合のための実用的な手法について詳しく見ていきましょう。

React コンポーネントの構築

React はコンポーネントベース開発の世界を席巻しており、デベロッパーの74%がプロジェクトに取り入れています[2]。ここでは、デザイン仕様に沿った、モジュール化された再利用可能なコンポーネントの作成に焦点が当てられます。

チームが React コンポーネントを効果的に構造化する方法の例を以下で見てみましょう:

import React from 'react';
import { tokens } from './tokens';

const Button = ({ label, onClick, variant = 'primary' }) => {
  return (
    <button
      className={`button ${variant}`}
      onClick={onClick}
      style={{
        backgroundColor: tokens.colors[variant],
        padding: `${tokens.spacing.small} ${tokens.spacing.medium}`,
      }}
    >
      {label}
    </button>
  );
};

export default Button;

「デザインからコード」のツールと方法

React コンポーネントの準備ができたら、最新のツールでデザインからコードへのプロセスがシンプルになり、連携が改善されます。例えば、UXPin Merge で、デザイナーはコードコンポーネントと直接作業できるようになることから、ハンドオフ時に大体起こる摩擦が減ります。

ツール 主なユースケース 主な利点
UXPin Merge コードベースのプロトタイプ 実際の React コンポーネントを使う
Storybook コンポーネントドキュメント インタラクティブなテスト環境
Zeplin デザインハンドオフ スタイルガイドの自動生成

 

このようなツールでチームの連携がよくなり、コンポーネントの動作やスタイリングに関してデザイナーとデベロッパーが同じ見解を持てるようになります。

コンポーネントをあらゆる場所で機能させる

コンポーネントがプラットフォーム間で一貫して機能することを保証するには、互換性と応答性を重視しましょう。クロスプラットフォームのコンポーネントは、主要な機能を維持しながら、さまざまなデバイスに適応すべきです。

レスポンシブデザインの場合は、次のような方法を検討してください:

import styled from 'styled-components';

const ResponsiveCard = styled.div`
  display: flex;
  padding: 1rem;

  @media (max-width: 768px) {
    flex-direction: column;
    padding: 0.5rem;
  }
`;

モバイルプラットフォームをターゲットにする場合、React Native は素晴らしい選択となります。これだとプラットフォーム固有のニーズに合わせてコンポーネントを調整しながら、同じコンポーネントライブラリを使うことができ、このアプローチにより、パフォーマンスや UX(ユーザーエクスペリエンス)が犠牲になることなく一貫性が確保されます。

コンポーネントシステムの拡張

デザインシステムが進化するにつれて、コンポーネントライブラリの拡張は、増大する需要へ対応するのに非常に重要になります。きちんと管理されたアプローチだと、システムが効率的で一貫性のある状態を維持することが保証され、実際、69%の企業から、構造化されたコンポーネント管理によってデザイナーとデベロッパーの連携が改善されたと報告されています[10]

大規模なコンポーネントの管理

大規模なコンポーネントライブラリの管理には、特に複数のチームを抱える組織では、構造化されたアプローチが必要です。Airbnb の DLS(Design Language System)を例に挙げてみると、同社はこのシステムによって10チームから100チームへと規模を拡大でき、それでデザインの一貫性は確保されながら、機能開発時間は30%短縮されました[10]

大規模なコンポーネントライブラリの管理の戦略は、詳しくは以下のようになります:

管理面 実装戦略 主な利点
一元化 単一のレポジトリを「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」として使う より簡単なバージョン管理
ドキュメント Storybook のようなツールでの自動化 より良い知識共有
パフォーマンス Lighthouse ようなツールでの監視 読み込み時間の改善
コンプライアンス SonarQubeでの自動チェックの実行 一貫したコード品質

 

リソースの一元化やドキュメンテーションの自動化、パフォーマンスとコンプライアンスの維持によって、効率が落ちることなくシステムを拡張することができるのです。

更新とバージョン管理

コンポーネントライブラリを最新の状態に保つのは、その構築と同じくらい重要です。大規模組織による依存関係の効果的な処理法としては、例えば Netflix の 「Nirvana 」プラットフォームが挙げられます[4]

更新とバージョン管理のための戦略としては、以下のようなやり方があります:

  • セマンティックバージョニング:更新と変更を明確に伝える。
  • 機能フラグ:リスクを最小限に抑えるために更新を段階的に展開する。
  • 変更ログ:変更の詳細な記録を保持して参照しやすくする。
  • 自動テスト:回帰テストを実行して潜在的な問題を早期に発見する。

Material-UI の戦略も際立っています。これには、詳細な移行ガイドと主要な更新のための自動化された codemods が備わっていることから、チームは後方互換性を確保しながら、スムーズにバージョンを切り替えることができます[9]

コンポーネント向け AI ツール

AI で、チームがコンポーネントライブラリのデザインや維持する方法が新たに生み出されており、例えば BBC の GEL(グローバルエクスペリエンスランゲージ)システムでは、AI でコンポーネント作成やアクセシビリティテストなどの作業がどのようにできるかがわかります。

AI ツールがどのように効果的に使われているか、以下で見てみましょう:

ツールのカテゴリ 目的
生成 コンポーネントコードの自動化 GitHub Copilot の提案
アクセシビリティ 自動テストの実行 Deque の axe-core ML チェック
最適化 パフォーマンス分析 Adobe Sensei の統合

 

Figma の AI を活用した自動レイアウトやバリアント機能でも、一貫性のあるコンポーネントの作成がしやすくなっています。一方、Microsoft の「アクセシビリティのための AI」プログラムは、アクセシビリティ問題の自動特定および修正を行うツールの開発に取り組んでいます。

AI は反復的なタスクを処理することができますが、引き続き人間の監視を行うことが極めて重要です。定期的な監査により、AI が生成したコンポーネントがデザイン基準に合致し、想定される品質を満たしていることが保証されます。

次のステップ

矛盾が35%削減されて市場投入までの時間が30%短縮された Airbnb のデザイン言語システム[10]のような戦略からヒントを得て、これから取り組みましょう。

まず、デザイン要素の詳細な監査から始めます。これにより、再利用可能なコンポーネントの特定や、コンポーネントライブラリの効果的な計画ができるようになります。

ワークフローに対応サポートする適切なツールを設定します。デザインには、Figma Sketch のようなオプションを検討しましょう。開発には、Storybook のようなツールが最適であり、バージョン管理には、AbstractGit だと連携が効率化されます。新しく始めるのであれば、UXPin の Merge を使えば、デザインとコードを直接つなげることができます[3]

早い段階でデザイントークンを確定しましょう。これには、カラー パレット、タイポグラフィ、間隔、各コンポーネントのバリエーションなどの主要要素が含まれ、それを文書化することで、明確さと一貫性が確保されます。

パイロットプロジェクトでコンポーネントライブラリをテストします。このステップで、スケールアップする前にワークフローの調整や問題の解決ができるようになります。

2週間ごとに部門横断的なレビューを開催しましょう。この会議は、最新情報の議論、課題の解決、チーム間の連携の確保に非常に重要です[5]

ガバナンスプロセスを導入します。つまり、スムーズな実行のために、明確なガイドラインの作成、レビューチェックリストの設定、テストの自動化、定期的な監査のスケジュールを行うということです。

コンポーネント作成のスピードアップ、バリエーションの探索、パフォーマンスの向上に AI ツールを組み込みましょう [9]。ただし、品質と関連性の維持のために、生身の人間による監視をきちんと行いましょう。

開発速度、デザインの一貫性、コードの再利用性、チームの生産性などのメトリクスを使って進捗状況を追跡します。これにより、システムがどのように進化しているかを明確に把握できるようになります。

さらなるベストプラクティスに進む前に、この手順に従って強力なコンポーネントシステムを構築しましょう。

Q&A

ここでは、コンポーネントベースデザインに関するよくある質問にお答えします。

Figma のデザインを React コンポーネントに変換するにはどうすればいいでしょうか?

Figma のデザインを React コンポーネントに変換するには、以下の手順で行えます:

  • デザイン分析:まず、Figma のコンポーネント構造と階層を確認する。
  • React コンポーネントの構築:Figma のレイアウトを反映する React コンポーネント構造を作成する。
  • スタイルの適用:CSS-in-JS や styled-components などのツールを使って、デザインのスタイルを実装する。
  • 機能の追加:必要に応じて、インタラクションとステート管理を組み込む。
  • 応答性の確保:さまざまな画面サイズとパフォーマンスに合わせてコンポーネントを最適化する。

その際、Visual Copilot などのツールを使うと、Figma レイヤーから直接コードを生成したり、アニメーションなどの調整を簡単に行うことができるため、このプロセスの一部がシンプルになります。

コンポーネント ライブラリとデザイン システムの違いは何ですか?

コンポーネントライブラリは、基本的に、ボタン、タイポグラフィ、カラーパレットなど、再利用可能な UI 要素の集まりであり、視覚的な一貫性を保つようにデザインされています。デザインシステムはさらに進んで、そのような UI 要素をガイドライン、標準、詳細なドキュメントと組み合わせます。このような構造の層が追加されることで、ワークフローが効率化され、例えば、デザインシステムを採用した企業は、標準化されたプラクティスのおかげで、多くの場合はデザインや開発にかかる時間が短縮されます。

コンポーネントライブラリとは何ですか?

コンポーネントライブラリは、プロジェクト間の一貫性を促進する、再利用可能な UI 要素の中央レポジトリです。最近の調査によると、構造化されたコンポーネントライブラリを使っている企業の69%は、デザイナーとデベロッパー間の連携がよくなっているとのことです[11]。そして最良のライブラリは、各コンポーネントの明確なドキュメントを備え、現在の開発プラクティスと互換性を保つために定期的に更新されます。

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