ペーパープロトタイプ: 10分でわかる実践ガイド
ハイテクなデジタル製品におけるUXデザインの世界でも、ペンと紙は、Lo-Fi(低忠実度)のプロトタイプをサクッと作る選択肢として今でも好まれています。皆さんの思い込みとは裏腹に、UXチームはコンピューターから離れ、付箋やホワイトボード、メモ帳に書き込んだり、紙のプロトタイプに注釈を加えたりすることに多くの時間を費やしています。
デザイナーがコンピュータに向かう前に計画や準備をすればするほど、ワイヤーフレーム、モックアップ、プロトタイプをサッとデザインすることができます。そしてペーパープロトタイプは連携を促すことから、初期の UX デザイン思考プロセスの重要な部分であり、それでデザイナーは最小限のコストで多くのアイデアを検討できるようになるのです。
UXPin を使うことで、デザインチームと開発チームは、ペーパープロトタイプから忠実度の高いプロトタイプ作成にすぐに移行でき、それでデザインプロセスは大幅に加速されます。一貫性のある高品質なデジタル体験を構築しませんか。無料相談およびトライアルはこちらから。
ペーパープロトタイプとは
ペーパープロトタイプとは、デジタル製品を表す手描きの「スクリーン」を使ってアイデアを開発し、ユーザーフローをデザインするプロセスであり、ここではインタラクションデザインよりも、ハイレベルな UX(ユーザーエクスペリエンス)のテストを行います。
ペーパープロトタイプには機能がないことから、忠実度が低いため、ペーパープロトタイプのデザイナーがペーパープロトタイプを部門外で共有することはほとんどありません。
ペーパープロトタイプは、情報アーキテクチャをマッピングしてユーザーフローを可視化することを主な目的としています。
デザインチームは、よく机の上やフローの上に紙画面を並べて、実際のユーザーがどのようにナビゲートして最終的なゴールに到達するかを想像します。そのデザインは初歩的なもので、たいていは白黒でスケッチされ、コンテンツは見出しと行動喚起のリンクだけが読みやすいテキストで表示された限定的なものです。
また、スワイプやスクロールなどの基本的な機能をシミュレートするために、チームが厚紙を使って iPhone や Android のモックデバイスを作ることもあります。このようなモックデバイスを使うことで、デザイナーは自分のデザインが携帯電話の枠内でどのように見えるかを確認することもできます。‐ これはモバイルアプリのデザインの際には特に便利です。
紙のプロトタイプの主な利点はスピードですが、UI Stencils などのツールを使って、正確で見た目に美しい画面レイアウトをデザインするデザイナーもいます。これは、紙のプロトタイプをステークホルダーやテスト参加者に提示する予定がある場合に極めて重要です。
UXPinの旅は、Web Kitという同様のペーパープロトタイピング製品から始まりました。ペーパープロトタイプを自動的にワイヤーフレームに変換するデザインツールとペアになったペーパーパッドです。そして UXPin は、エンドツーエンドのプロトタイピングソリューションへと進化し、最初から制作可能なプロトタイプを作成できるようになりました。UXPinをぜひ無料でお試しください。
ペーパープロトタイプのデジタル化
reMarkable や Apple Pencil のようなツールを使えば、チームはアナログな紙の体験のようなスピードと多様性を楽しみながら、リモートで共同作業を行うことができます。
デジタルスケッチツールを使うことで、ペーパープロトタイプのプロセスは加速されます。デザイナーは、(画面を再描画することなく)より速やかに変更を加え、詳細なメモを添付し、完成したプロトタイプを UXPin のようなデザインツールにすぐにアップロードして、忠実度の高いプロトタイプを作成したり、ワイヤーフレームを作成したりすることができます。
ペーパープロトタイプがデジタル化されることで、紙やプラスチックのゴミも減って環境にも優しいですよね 。
ペーパープロトタイプのメリット・デメリット
スピードと柔軟性は別として、ペーパープロトタイプにはメリットもデメリットもあります。
以下の無料eBook に載っているメリット・デメリットからいくつか挙げてみましょう(英語)
メリット:
- 速やかなイテレーション:1時間以上かけて完成させたデジタルモックアップよりも、5分で完成した紙のデザインを破棄する方が簡単。
- 低コスト:紙は安く、ツールやキットが追加されても破綻しない。
- 創造性の向上:鉛筆と紙の自由さで、実験と新しいアイデアが育まれる。デザインツールはデザインプロセスにおいて重要な役割を果たすが、デザインの初期段階では創造性を阻害する可能性がある。
- チーム構築:ペーパープロトプは、クリエイティブな環境でチームが一丸となれる貴重な機会となる。ペンと紙を使って作業することで、子供のようなエネルギーが引き出され、そこから絆が生まれ、同僚との関係が強くなる。
- 習得が一番ラク:誰もがアイデアをスケッチできるため、ペーパープロトタイプはマーケティング、開発、ステークホルダーなどの他部門を巻き込むのに最適な方法となる。
- ドキュメンテーション :ペーパープロトタイプは優秀なドキュメンテーションとなる。例えばデザイナーは、プロジェクト全体を通して参照できるように、メモやアイデアのアウトラインを作ることができる。ペーパープロトタイプは優れた UX成果物である。
デメリット:
- ユーザーの反応がない:ユーザーからのフィードバックがないため、アイデアがうまくいくかどうかを知るのは難しく、ペーパープロトタイプを参加者とテストしたとしても、フィードバックは限られたものになると思われる。
- 不正確なフィードバック:UXチーム以外では、ペーパープロトタイプの解釈が大変である可能性があり、それで正確で意味のあるフィードバックが制限されてしまう。
- 潜在的に不要:UXPinのようなラピッドプロトタイピングツールでは、ペーパープロトタイプでデザインプロセスに不必要なステップが追加される可能性がある。UXPin にはあらかじめデザインシステムが用意されているため、デザイナーは忠実度の高い要素をドラッグ&ドロップでサッとデザインして、作業用のプロトタイプを編集することができる。
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ペーパープロトタイプを作るタイミング
Google のジェイク・ナップ氏は「ペーパープロトタイプは時間の無駄だ」と言っていますが、初期段階のコンセプト作りにはペーパープロトタイプが有効だと認めています。
一度紙からデジタルに移行したら、戻る理由はありません。新機能や製品の再デザインのために、紙のプロトタイプに戻るデザイナーもいるかもしれませんが、その場合でも、紙のプロトタイプまで戻る必要はないかもしれません。
とはいえ、紙のプロトタイプは初期段階の概念化に最適です。そのスピード、簡単さ、シンプルさにより、デザイナー以外の人も含むすべてのチームが利用でき、実験と創造性を育むことができます。‐ これはデジタルキャンバスでは実現できないことですですね。
また、ペーパープロトタイプは以下には理想的です:
- ブレーンストーミングのミーティングとセッション
- 初期段階での基本的な社内ユーザーテスト
ペーパープロトタイプの作り方
ペーパープロトタイプは、製品デザインの楽しみどころです。チームメンバーがブレインストーミングを行い、アイデアをスケッチする機会ですからね。
スケッチの綺麗さを気にする必要はありません。最高の UX デザイナーでも、別に素晴らしいスケッチアーティストというわけではないですし、そもそもこれは、自身のアイデアを視覚化して創造力を引き出すことが目標です。
ペーパープロトタイプの作成には、主に以下の3ステップがあります:
1.材料を準備する
紙、ペン、マーカー、付箋、はさみなどの材料を集めます。UI(ユーザーインターフェース)のスケッチに、ホワイトボードや大きな紙を使うのもいいかもしれません。
2.インターフェースをスケッチする
基本的な画面、UI、デザインの主要な構成要素を別々の紙に描き、そのスケッチを順番に並べることで、ユーザーの流れを表現します。
3.インタラクションのシミュレーションをする
ユーザーとのインタラクションの順序でスケッチをレイアウトします。ユーザーのアクションに基づいてスケッチを手動で切り替えてユーザー体験をシミュレーションし、フィードバックを集めてデザインを直していきます。
詳しいガイドについては、UXPinのプロトタイプに関する記事をご覧ください。
ペーパープロトタイプを作るための6つのヒント
1.プリンター用紙と安い鉛筆やペンを使う
罫線やラインが引いてあるノートだと、多くの場合はデザイナーがたくさんのアイデアを練るよりも、線の間に描くことに気を取られて創造性が抑制されてしまいますからね。
2.ウォーミングアップから始める
リラックスして流れに乗るには、数枚のスケッチが必要なこともあります。例えばクレイジーエイトは、同じ画面の多くのバージョンを素早くデザインするための素晴らしいペーパープロトタイプの手法であり、これを2,3ラウンド行うと、さらに発展させるアイデアがたくさん出てくるでしょう。
3.モバイル優先型またはプログレッシブエンハンスメントのプロトタイプを作成する
最小のスクリーンから始めて、ビューポートを拡大縮小しながらレイアウトを調整します(これはモバイルと Web デザインに当てはまる)。拡大は、コンテンツを優先して、モバイルに変換されない複雑なデスクトップ用のレイアウトになるのが回避されることから、縮小よりもはるかに簡単です。補足: UXPinのオートレイアウトを使うと、自動的にデザインのサイズ、フィット、塗りつぶしがされることからモバイル優先型のデザインに便利な機能です。
4.1画面(1枚の紙)につき1枚のスケッチにこだわる
ペーパープロトタイプでは、紙片を順番に配置してユーザーフローを作成する必要があり、その入れ替えや、新しい画面の追加をしたりすることから、1枚の紙の上に複数の画面があると、このスピードと柔軟性が失われてしまいます。
5.アイデアが浮かんだら反復する
目標は質ではなく量であり、紙でプロトタイプのアイデアをたくさん作ると、多くの場合、最終結果を得るために各アイデアから少しずつ取り出すことになります。これは、紙を使ったレゴ セットのようなものですね。
6.ペーパープロトタイプがうまくいくには、計画を立てることが重要
十分な数のペン(黒の細いマーカーが最適)、紙、はさみ、のり、付箋、インデックスカード、テープ、厚紙、その他にもプロジェクトに必要と思われるものを用意すします。ホワイトボードとマーカーも、ユーザーフローの概要を共同で描くのに最適です。プロのアドバイス:ペーパープロトタイプを準備する仕事は、アート&クラフト愛好家に割り当てましょう。どのチームにも少なくとも1人はいて、必要なものを十分すぎるほど揃えてくれるはずです。
ペーパープロトタイプのテストと発表
UX部門外でペーパープロトタイプをテストして発表することは、常に厄介です。ステークホルダーやユーザビリティの参加者は、何が起こるかを「想像」しなければならないため、訳がわからなくなったり、提示しようとしている内容から焦点がそれる可能性があります。とはいえ、Jakob Nielsen の調査によると、ユーザビリティの問題の75%は、ペーパープロトタイプのようなシンプルで忠実度の低いプロトタイプで特定できることが分かっています。
ペーパープロトタイプを発表してテストするためのヒントを以下に挙げてみましょう:
- 発表者以外の1人を「人間コンピュータ」または製品シミュレータ役に指名する:人間コンピュータ役の人は、スクロール、スワイプ、さまざまな画面への移動、その他の機能のシミュレーションをする。
- リハーサル:プレゼンターとシミュレーターが同期できるように、リハーサルは非常に重要。発表者は、シミュレータがプレゼンテーションに追いつくための適切なリズムを考案するといいかもしれない。
- 標準的なユーザビリティテストのベストプラクティスに従う – 「最低5人のユーザーを使ってテストを記録する」などの標準は、現在も適用されている。ユーザビリティの標準と実践方法に関する詳細については、当社のユーザビリティ・テスト・ガイド(無料)をこちらからダウンロード可能(英語)。
- ユーザーに紙のプロトタイプを渡して検査させる場合は、どこに注目して何をテストすべきかがわかるように、ガイダンスと注釈を必ず提供する。
UXPin でのプロトタイプ
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